世界電力レビュー2025 | Ember

世界電力レビュー2025

太陽光に牽引された再生可能エネルギーの記録的な成長により、2024年には低炭素電力が世界の総発電量の40%を超えた。一方、熱波の影響による需要の急増に伴い、化石燃料発電もわずかに増加した。

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8 Apr 2025
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ハイライト

40.9%
2024年世界総発電量のうち低炭素電源が占める割合
+29%
2024年の太陽光発電成長率。過去6年で最高を記録
+4.0%
2024年の電力需要増加率。熱波の影響により増幅

エグゼクティブサマリー

再生可能エネルギーの記録的成長により低炭素電力が世界で40%を超過

2024年は再生可能エネルギー、特に太陽光の記録的な成長に押されて、低炭素電力が世界総発電量の40%を超えた。一方で、各地の熱波の影響で電力需要が大幅に増えた結果、化石燃料発電量も微増し、電力部門排出量は過去最大となった。

太陽光発電は世界のエネルギー転換推進の原動力となっており、2024年には太陽光発電量と導入容量の両方が最高記録を更新した。太陽光発電電力量は高成長率を維持しており、過去3年間で倍増、この3年間の追加量は他のすべての電源を上回った。しかし同時に、2024年の電力需要は大幅に増加し、クリーン電力の成長率を上回った。AIやデータセンター、電気自動車、ヒートポンプなどの技術の拡大は、これまでも世界的需要増に寄与してきた。しかし、2024年の電力需要伸び率が2023年に比べて大きかった主な要因は、熱波発生中のエアコン使用の増加である。化石燃料発電がわずかに増えたのは、ほぼこの影響によるものだった。

重要な知見

01

低炭素電力が世界発電量の40%を超過

2024年は、低炭素電源(再生可能エネルギーおよび原子力)による発電が、1940年代以来初めて世界総電力量の40%を超えた年となった。再生可能電源の追加量は858 TWh(テラワット時)と過去最高を記録し、これまでの最高記録である2022年の577 TWhを49%上回った。再エネの記録的成長に加えて原子力出力も微増(+69 TWh)した結果、電源構成に占める低炭素電力の比率は2023年の39.4% から2024年には40.9%(12,609 TWh)へと拡大した。低炭素電力の内訳では、水力が引き続き最大の電源(14.3%)で、原子力がそれに続いたが(9.0%)、風力(8.1%)と太陽光(6.9%)の比率が急速に伸び、合計では水力を上回った。一方、原子力の比率は過去45年間で最低となった。

02

太陽光発電が3年間で倍増

 

太陽光発電は過去3年間で倍増し、2000 TWh を超えた。太陽光は、世界の新規発電量において3年間連続で最大の電源となり(+474 TWh)、さらに成長率でも20年連続でトップを維持した(+29%)。2024年に追加された太陽光発電量のうち半分以上(53%)は中国における増加で、同国では2024年の電力需要増の81%をクリーン発電の拡大で賄っている。世界的な太陽光の急成長は今後も続くと見込まれており、2024年は一年間の太陽光設備容量追加の新記録を更新し、2022年の追加容量の倍以上に達した。世界の太陽光発電容量は、数十年にわたる成長を経て2022年に1 TWに達したが、わずか2年後の2024年には2 TWに達している。

03

化石燃料発電微増の主要因は熱波

2024年は各地の人口集中エリアで高温が続いたため、2023年に比べて冷房需要が増加した。この冷房需要の影響で、世界の電力需要は0.7%増加し(+208 TWh)、総電力需要の増加率は2023年の+2.6%から+4.0%へと大幅に上昇した。その結果、化石燃料発電が1.4%増加し、世界の電力セクターCO2排出量は1.6%増加、過去最大である146億トン のCO2が排出された。化石燃料発電増加の主な要因は高温であり、この影響を除外した場合、高温による影響を除いた電力需要の増加分の96%をクリーン電力が賄ったため、化石燃料発電の増加は0.2%にとどまったはずである。世界の化石燃料発電は、2024年には245 TWh増加しているが、これは需要増加率の大きな変化にもかかわらず、2023年の増加量(+246 TWh)とほぼ同じだった。

2020年代後半の世界電力システムは、2つのメガトレンドに支配される。そのひとつは、太陽光発電の急速な成長の継続と、電源構成における太陽光の比率の急上昇であり、もうひとつは、グローバル経済において電力が他のエネルギー源を置き換えていくことで、電力需要が堅調に増加することである。

このトレンドの兆候はすでに現われている。太陽光は過去3年間にわたり、新規発電量の中で最大の電源となっており、またEVやヒートポンプ、データセンターなどによる新しい電力需要は、現在年間需要増の0.7%を占めており、これは5年前の倍に相当する。

クリーン発電の成長が加速し、構造的な需要増加のペースを上回る転換点が近づく中、短期的な化石燃料発電量の変動は、2024年の熱波の影響にも見られるように、主に気象の変動に左右されることになる。しかし、クリーン発電の成長や蓄電池などの柔軟性技術の普及により、需要増加率が高まる状況においても、今後化石燃料電源への依存度が低下していくことは明白である。

エンバーの推定では、これから2030年まで電力需要が現在の予測を上回る年率4.1%のペースで増加したとしても、クリーン発電の成長がそれに歩調を合わせ、需要増に対応できるとされている。その中で重要な役割を果たすのは、世界最大の新興経済国である中国とインドの動向であるが、両国はいずれもクリーン電力による電力需要増対応への舵を切っており、世界レベルでの化石燃料発電の縮小を促す要因となっている。

「太陽光発電は世界的なエネルギー転換の原動力となっている。蓄電池と組み合わせにより、その拡大は止めようのない勢いに達するはずだ。成長率・規模ともに最大の電源となった太陽光は、増え続ける世界電力需要を満たす上で重要な役割を果たす。データノイズの中にある真の信号に焦点を当てる必要がある。2024年には高温という気象条件が化石燃料発電の増加をもたらしたが、同様の増加が2025年にも発生する可能性は低いだろう。世界は今、AIやEVなどの技術による電力需要の増大を目の当たりにしている。しかし、急成長を続ける太陽光や風力発電が十分にこれに対応できることは明らかであり、化石燃料発電の増加が続くと期待する者は失望することになるだろう 。今や経済開発の推進力となっているのは化石燃料ではなくクリーン技術である。電力需要が急増する状況にあっても、化石燃料の成長は終焉を迎えている。」

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