世界電力レビュー2026 | Ember

世界電力レビュー2026

太陽光発電の急増が化石燃料の拡大を抑制する中、非化石電源は新規の発電需要量を完全に満たし、再エネが石炭火力を超過

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English | Bahasa Indonesia | Polski | Español | Português | Türkçe | 简体中文اَلْعَرَبِيَّةُ

21 Apr 2026
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主なハイライト

75%
2025年に世界で増えた電力需要量のうち太陽光発電によってカバーされた割合
33.8%
2025年に世界の発電量における再エネ発電比率 ー 初めて3分の1を超え、石炭発電を上回る
-0.2%
化石燃料による発電量の前年比変化率

エグゼクティブサマリー

太陽光発電の急増が化石燃料発電の増加を抑制し、再エネは石炭を超過

2025年は、太陽光発電の記録的な成長を背景に、非化石電源*の供給量は新規電力需要を完全に満たす規模に達し、結果として化石燃料による発電量の増加が抑制された年になりました。化石燃料の発電量が前年比で増加を記録しなかったのは2020年以来のことであり、今世紀に入ってからは5回目です。

(*本報告書において、「非化石電源(原文: clean power)」とは「太陽光・風力・水力・バイオエネルギーや地熱などを含む再生可能エネルギーと原子力」を意味します。)

世界における化石燃料利用の増加にいたる最大の歴史的要因であった中国とインドも、2025年は化石燃料による発電が減少しました。これは、非化石電源の記録的な新規導入量が電力需要の伸びを上回ったことに由来します。その結果、世界全体での化石燃料発電の増加は停止しました。

太陽光発電は、世界の電力部門を変革する主要な原動力としての地位を固めています。その記録的な成長は、2025年における電力需要増加分の4分の3を占めています。太陽光発電の増加は、化石燃料のうち唯一2025年に増加した天然ガスの18倍に相当します。さらに現在、世界の太陽光発電量はEU全体の総電力需要と同規模となっています。

中国は再び太陽光発電の導入をけん引しました。2025年における世界の太陽光発電容量および発電増加量は、いずれも半分以上が同国によるものでした。これにより、中国の発電構成における太陽光と風力の合計シェア率は22%に達し、OECD平均(20%)を上回りました。インドも非化石電源の導入を加速させています。再生可能エネルギーによる発電量の伸びはこれまでの最高記録の2倍に達し、太陽光発電の新規導入容量は初めて米国を上回りました。

2025年は他にも、再生可能エネルギーが石炭火力発電を追い抜くという世界的なマイルストーンも達成されました。太陽光、風力、水力を含む再生可能エネルギー電源の合計は、現代の電力システム史上初めて世界総発電量の3分の1を超えました。対照的に、石炭火力の比率は史上初めて3分の1を下回りました。

太陽光発電の加速する導入は、蓄電池の配備とともに行われるケースが増えており、日中のみならず「いつでも使える太陽光」という次なるパラダイムシフトを可能にしています。蓄電池のコストは2年連続で大幅に下落しました。2024年にコストは20%低下しました。2025年にはそこからさらに45%の低下を記録した一方で、蓄電池の導入容量は前年比46%増の250GWh(推計)に達しています。その結果、世界全体で十分な蓄電容量が導入され、2025年の新規太陽光発電量の14%を日中から他の時間帯へシフトすることが可能になりました。

チリやオーストラリアなどの導入先行国では、2025年の新規太陽光発電量の50%以上をカバーできる規模の系統用蓄電池を導入することで、電力価格の低下や出力制御の削減といった恩恵をすでに享受しています。

重要な知見

01

非化石電源が新規電力需要をすべて満たし、化石燃料発電の増加は抑制

記録的な太陽光発電の伸びにけん引され、2025年の非化石電源による発電量は887TWh増加し、世界の電力需要の増加分(849TWh)を上回った。太陽光発電単体で増加した電力需要分の75%をカバーしており、風力発電と合わせると、これら2つの電源で需要増加分のほぼすべて(99%)を充足できる計算となる。2025年の化石燃料による発電量は38TWh(-0.2%)のわずかな減少を記録した。化石燃料による発電量が前年比で増加に転じなかったのは、コロナ禍の2020年ぶりで、今世紀に入って5回目である。

02

太陽光発電は8年ぶりの最高成長率を記録し、指数関数的な成長が継続

2025年の太陽光発電量は過去最高の636TWh増加し、2,778TWhに達した。これは2024年比で30%の増加となる。この新たに増加した太陽光発電量は、昨年ホルムズ海峡を通過した全LNG(液化天然ガス)輸出量(推定550TWh相当)に匹敵するガス火力発電を代替するのに十分な規模である。絶対的な増加量が大幅に拡大しているにもかかわらず、伸び率としては過去8年間で最高を記録しており、指数関数的な成長が続いている。太陽光発電量は2022年の1,333 TWhから、約3年ごとに倍増するペースで増加している。世界全体の太陽光発電量がわずか256 TWhであった2015年からの10年間では、10倍以上の成長を記録した。2025年、太陽光発電は世界規模で初めて風力発電を追い抜き、原子力発電に迫る水準に到達。2026年には、太陽光・風力の双方が原子力を追い抜くと予想されている。

03

中国とインドの化石燃料発電が減少し歴史的な転換点に

世界的な化石燃料発電量の減少は、世界第1位および第3位の化石燃料発電国である中国とインドにおける、化石燃料の利用傾向が歴史的な転換を遂げたことが主な要因となった。2025年は、今世紀で初めて両国の化石燃料発電量が減少する年であった。中国では前年比56TWh(-0.9%)減を記録し、2015年以来初の化石燃料発電の減少を経験。これは、太陽光を中心とした記録的な非化石電源の導入量が、新規電力需要の伸びを上回ったためである。インドでは、化石燃料による発電量は前年比52TWh(-3.3%)減少した。これは、太陽光と風力の記録的な発電量の増加に加え、堅調な水力発電の出力と平均を下回る電力需要の増加が寄与したためだ。コロナ禍後の経済回復期に見られた4年間にわたって化石燃料発電が増加し続けた後の変化である。

04

現代史上初めて再生可能エネルギーが石炭火力を上回る

太陽光・風力の急速な拡大を背景に、再生可能エネルギーのシェアが世界全体の発電量の3分の1を超えた。これは、過去100年間で初めて、世界の電源構成において再生可能エネルギー(33.8%、10,730TWh)が石炭火力(33.0%、10,476TWh)を追い抜いたことを意味する。2025年の石炭火力発電量は63TWh(-0.6%)減少し、2020年のコロナ禍以来の減少を記録。電力需要が拡大を続ける中で、石炭火力発電は史上初めて世界全体の発電量の3分の1を下回った。

電力部門において、世界は非化石電源による成長の時代に入り、化石燃料に依存した成長の時代を脱しつつあります。豊富な非化石電源は、運輸などの他部門の電化を可能にし、経済全体における化石燃料依存の低減を加速させています。

この構造的転換は、世界がわずか4年間で2つの大きな化石燃料ショックに見舞われるという、世界のエネルギーシステムにおける重要な局面で起きています。第一にロシアのウクライナ侵攻、そしてより最近では、アメリカ・イスラエルとイランの戦争が、不安定な化石燃料市場に依存する世界のエネルギーシステムの脆弱性を露呈させています。

新興国にとっても先進国にとっても、今こそ、安定した国内のエネルギー基盤に経済成長の軸を置く時です。非化石電源を最も早く拡大できる国々こそが、短期的には化石燃料依存を減らし、長期的には経済成長を支える上で最も有利な立場に立つことになるでしょう。太陽光、風力、および蓄電池のコスト競争力が高まった今、複数の技術的進展が大規模に融合し、世界のエネルギーシステムを根本から変革するとともに、エネルギー安全保障への確固たる道筋を示しています。

私たちは「クリーン成長」の時代を確実に迎えています。クリーンエネルギーは現在、急速に拡大しており、世界的な電力需要の増加を吸収できるほどになっています。これにより、化石燃料による発電量は、その不可避的な減少に先立ち、横ばい状態を維持しています。現在見られるこの勢いは、もはや単なる目標ではなく、構造的な現実となりつつあります。 太陽光発電は世界の電力システムを変える中心的な役割を果たしており、蓄電池と組み合わせることで、24時間体制で供給されるクリーンエネルギーを急速に拡大する道を開いています。 不安定な世界情勢の中で、クリーンエネルギーはエネルギー安全保障の基盤を急速に再定義しつつあります。すでに各国において、クリーンエネルギーは、高まる電力需要を満たしながら、化石燃料の輸入への依存度やコストを低減するのに貢献しています。次のステップは、系統や規制枠組みを現代化し、電力システムがこの新しい現実に柔軟に対応できるようにすることです。

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