石炭を採掘すると、炭層からメタンが漏れ出します。このメタンの測定にはばらつきがあり、原料炭についてはほとんど規制されていません。この適用除外は、2つの主張に基づいていました。1つ目は、メタンは炭鉱会社の排出(スコープ1)として計上すべきであり、鉄鋼メーカーの排出(スコープ3)ではないという主張です。2つ目は、炭鉱単位の排出データが入手できないという主張です。しかし、そのいずれについても状況は変わりつつあります。
日本は、この変化に対応するうえで、他のどの輸入国よりも有利な立場にあります。日本の買い手は、CLEANイニシアティブを通じて、すでにLNG供給者に上流工程のメタン排出の開示を求めています。これは、輸入国が購買関係を通じて透明性を生み出せることを示しています。石炭も同じ商社を通じて取引されており、データを作成することも可能です。しかし、石炭側には、それを実際に要求する仕組みが存在しません。
現在、その役割を担う機関はありません。経済産業省(METI)は石炭をエネルギー安全保障の観点から扱い、環境省(MoE)の温室効果ガスインベントリは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の規則に従い、日本で発生した排出のみを対象としています。また、鉄鋼部門の排出量算定では、上流のメタンは原則として除外されています。その結果、排出は石炭採掘と鉄鋼のはざまに抜け落ちています。
炭鉱メタン(CMM)は、20年間で見た鉄鋼部門の温暖化への影響を約27%上乗せしています。しかし、そのコストは石炭価格に反映されず、鉄鋼の脱炭素化計画からも外れたままです。
変化をもたらす鍵は、説明責任です。鉄鋼メーカーが炭鉱メタンをスコープ3排出量に計上すれば、投資家はそれを価格に織り込めるようになり、調達基準もそれを参照できるようになります。また、買い手は供給者に排出データを求めることができます。
石炭についての枠組みは、日本がすでにLNGで運用している3つの要素、すなわち買い手による開示要請、供給者による標準化されたメタン排出データ、そして独立した集計を組み合わせることで構築できます。CLEANイニシアティブはそのひな型となります。これをモデルとした初の石炭メタン開示サイクルを実施すれば、国際ルールがまだ形成途上にあるうちに、日本は独自の基準を確立できます。